細胞膜

ホスホリパーゼとアラキドン酸について

アラキドン酸は脳のサポートや細胞膜をサポートするという、重要な働きがあります。
体内でも合成されますが、その過程では合成と代謝を繰り返すアラキドン酸カスケードというサイクルがあります。
ホスホリパーゼもそのサイクルの過程で発生します。

アラキドン酸カスケードの過程で、発生する物質の中には炎症反応に関わる物があります。
炎症が起きた時の反応により、ホスホリパーゼが活性化します。
炎症を起こす物質はプロスタグランジン群と呼ばれ、PGE2やPGH2など種類があります。

ホスホリパーゼにも種類があり、炎症反応で活性化するのはホスホリパーゼA2と呼ばれる物です。
ホスホリパーゼA2は、肥満細胞や血小板、アラキドン酸と相性の良いリン脂質から、アラキドン酸を遊離させてしまいます。

これはアトピー性皮膚炎のようなアレルギー症状の原因を引き起こす事があります。
ホスホリパーゼが活性化すると、アレルギー症状を引き起こしやすくなるのです。

アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるために、ステロイドを使う事があります。
ステロイドに関してはあまりいいイメージを持たない事も多いのですいが、副腎皮質ステロイド薬には、ホスホリパーゼA2を抑える作用があります。
つまり症状によっては、いいイメージがないステロイドも、時に炎症を抑えるという意味では役に立つという事です。

全てはアラキドン酸カスケードの過程で発生しますが、アラキドン酸は神経細胞を活性化させたり、体の機能を維持するために欠かせない物質です。
年齢とともに体内で合成できる量は減っていきますから、補う事も大切です。

アラキドン酸は食事からも補えますし、サプリメントからの摂取も可能です。
しかし過剰摂取をすると動脈硬化やアレルギー症状を悪化させるという可能性があります。
これはアラキドン酸が増える事で、カスケードにより発生するホスホリパーゼも増えてしまうからです。
必要ですが過剰摂取は思わぬリスクを招きますので、適度である事が大切です。